2026-09-16
額リフト・眉下垂改善、眉毛を引き上げるだけで十分でしょうか?手術層と神経保護の重要ポイント | テイラー美容外科
額リフトは単に眉を上げるだけでなく、眼窩上神経の保護が仕上がりと後遺症予防の鍵を握ります。従来の骨膜下剥離の限界と、神経への負担を軽減するデュアルプレーン(プレーンシフティング)手術層の解剖学的アプローチについて専門医が解説します。

こんにちは、テイラー美容外科のタク・ウヒョンです。
額リフト(前額リフト)は、単に眉毛を上へ引き上げる手術だと思われがちです。
しかし実際の手術において、眉毛をどれだけ引き上げるかと同じくらい重要なことがあります。それは、眉や額周囲の神経をどれだけ安全に保護しながら、組織を十分に剥離・解放できるかという点です。
特に内視鏡下額リフト後は、一部の患者様において額や頭皮の感覚が鈍くなったり、ピリピリとした違和感、かゆみ、頭痛などの不快感が生じる場合があります。
私は延世大学医学部形成外科の教授として在職していた頃から、まさにこの問題を軽減する方法を研究してまいりました。そして2023年の大韓美容外科学会(APS 2023)にてその研究成果を発表いたしました。


私が実施しているデュアルプレーン(Dual-plane)、またはプレーンシフティング(Plane-shifting)額リフトは、従来の手術法からアプローチする層(剥離層)を変化させることで、このような神経への負担やトラブルを軽減することを目指した術式です。
この記事では、その背景にある解剖学的な原因から順を追ってご説明いたします。
Q1. 額リフト術とはどのような手術ですか?
加齢が進むと、眉や額の軟部組織が下垂し、上まぶたの皮膚が厚ぼったく見えたり垂れ下がって見えたりすることがあります。このような場合、二重整形や上眼瞼手術でまぶたの皮膚だけを切除しても根本的に解決しないケースがあります。問題の原因がまぶた自体ではなく、下垂した眉と額にあるためです。
内視鏡下額リフトは、髪の毛の内側(頭皮内)に小さな切開を加え、内視鏡を用いて額や眉周囲の組織を剥離し、下垂した組織を上方へ移動させる手術です。長い切開が必要な従来の切開リフトに比べ、傷跡が小さくて済むというメリットがあり、現在最も広く行われています。
一つ重要なのは、切開が小さいからといって、内部の剥離範囲まで狭いわけではないという点です。眉を自然に引き上げるためには、眉を下方に引っ張っている様々な組織や癒着を十分に解きほぐす(リリースする)必要があるからです。

Q2. 従来の額リフトはどの層を手術するのですか?
従来の内視鏡下額リフトでは、骨膜下層(Subperiosteal plane)を用います。前頭骨の直上に位置する骨膜の下に入り、骨に沿って剥離を進める方法です。
骨膜下層は比較的出血が少なく、剥離層の同定が明瞭であるため、手術の操作性に優れた層です。しかし、眉の近くまで下りてくると、ある重大な問題が生じる可能性があります。それが眼窩上神経(Supraorbital nerve)に関する問題です。

Q3. 額の感覚を司る眼窩上神経は、なぜ重要なのでしょうか?
私たちの額と頭皮の感覚を司る中心的な神経が眼窩上神経(Supraorbital nerve)です。この神経は眼窩上縁の骨を通り、額から頭皮方向へと上方へ走行しています。
従来の骨膜下剥離を眉の近頭までそのまま進めると、手術中に組織を上方へ牽引する力が、眼窩上神経周囲の比較的狭い範囲に集中してしまうことがあります。わかりやすく例えるなら、1本の電線を特定の1箇所で強く引っ張り続けるような状態です。
神経が直接切断されなくても、過剰に引き伸ばされたり圧迫されたりするだけで、一時的な感覚障害が起こり得ます。その結果、額リフト後に一部の患者様で以下のような症状が現れることがあります。
額または頭皮の感覚低下
ピリピリ感やチクチクする痛み
かゆみ
頭痛
まれに長期化する違和感
Q4. それなら最初から別の層を手術すればよいのではないでしょうか?
実際に額リフトには、骨膜の上層である帽状腱膜下層(Subgaleal plane)を利用する方法もあります。この層で剥離を行うと、骨と神経の間に骨膜や一部の軟部組織が残ることになります。そのため、組織を引き上げる際に神経と骨が直接擦れ合ったり、牽引力が一点に集中したりする現象を和らげるのに役立ちます。
しかし、この層も全ての面において優れているわけではありません。骨膜下層には、剥離が比較的容易で出血が少なく、安定した手術視野を確保しやすいという大きなメリットがあります。
そこで私は、どちらか一方の手術層のみを選択するのではなく、各層のメリットを必要な部位に応じて選択的に使い分ける方法を研究するに至りました。これこそが、Plane-shifting(手術中に剥離層を移行させる手技)を用いたデュアルプレーン(Dual-plane)額リフトです。
この詳しい内容については、次回の記事で詳しく解説いたします。


国際学会でも認められた研究
: 2025 PASM x IFAAS Master Class
本研究は国内の学会にとどまらず、国際的な舞台でも大きな注目を集めています。
来る11月、シンガポールで開催される世界的な学術カンファレンス「PASM x IFAAS Master Class」において、私は「Master Tutor」として公式招聘を受け、講演を行う予定です。
特に今回の学会では、額リフトセッションのファカルティ(指導講師)として、直接の講義およびカダバー実演(Cadaver Demonstration)を担当します。長年の臨床経験をもとに発展させてきた「Plane-shifting Endoscopic Forehead-brow Lift」の概念を、世界各国の形成外科専門医に向けて深く紹介する予定です。


単に眉を引き上げるだけの手術ではなく、神経を保護しながら長期的に安定した結果をもたらす額リフトの手技として、国際的にも評価されていることに大きなやりがいを感じています。
まとめ
項目 | 骨膜下層(Subperiosteal) | 帽状腱膜下層(Subgaleal) |
剥離の難易度 | 容易 | 高い |
出血量 | 少ない | 骨膜下剥離より多い傾向 |
神経の緩衝組織 | なし | 残すことが可能 |
神経牽引力の集中 | 生じやすい | 分散可能 |
額リフト術は、単に眉をどれくらい持ち上げるかだけではなく、どの層をどのように剥離するのか、どのような術式を採用するかが、術後の感覚回復や長期的な仕上がりに決定的な影響を与えます。
今回は手術の手法や解剖学的な側面についてお話しいたしました。第2編ではさらに踏み込んだ詳しい解説をお届けいたします。
文章ではお伝えしきれなかった詳細については、解説動画もご用意しておりますのでぜひご覧ください。
https://tv.naver.com/v/104322996
以上、形成外科専門医のタク・ウヒョンでした。ありがとうございました。
よくある質問
額リフト後に頭皮の感覚低下や頭痛が起こる理由は何ですか?
手術中に眼窩上神経周囲の組織が過度に牽引されたり圧迫されたりすることが主な原因です。神経が直接切断されていなくても、狭い範囲に過度の張力がかかり続けることで、一時的な感覚の鈍さ、ピリピリ感、かゆみ、頭痛などの異常感覚が生じる場合があります。
従来の骨膜下額リフトのメリットとデメリットは何ですか?
出血が少なく剥離層が明瞭で手術を行いやすいというメリットがある一方、神経への牽引力が集中しやすい点がデメリットです。骨に沿って安全に剥離できる反面、眉周囲の眼窩上神経にかかる引っ張り感によって術後の感覚異常を引き起こすリスクがあります。
帽状腱膜下層(Subgaleal)で剥離するメリットは何ですか?
神経と骨の間に緩衝組織(クッション)が残るため、神経にかかる牽引力を分散できる点がメリットです。ただし、骨膜下層に比べて剥離の難易度が高く、術中の出血リスクが比較的増えるという側面もあります。
デュアルプレーン(プレーンシフティング)額リフトとは何ですか?
剥離部位に応じて骨膜下層と帽状腱膜下層を適切に切り替えて進める術式です。それぞれの層の長所を組み合わせることで、出血を抑え安全に剥離しつつ、神経周囲の緩衝組織を温存して術後の感覚障害を最小限に抑えることを目指します。
まぶたのたるみも額リフトで改善できますか?
はい、改善可能です。まぶたの皮膚のたるみの根本原因が目元そのものではなく、下垂した額や眉の軟部組織にある場合、二重手術や上眼瞼切開ではなく額リフトによって眉と組織を元の位置へ引き上げることで、自然かつ根本的な若返り効果が得られます。